理学療法士の実習について

理学療法

理学療法士のなるために必須の実習の必要性

まず、簡単に理学療法士になるために必要なことを説明します。

 理学療法士として人の役に立つ仕事をするためには、まず国家資格を取得することが必要です。国家資格とは、国が法律で定め、国や地方自治体などが認定する資格のことをいいます。理学療法士の場合は、「理学療法士及び作業療法士法」にもとづき、厚生労働大臣が免許を与えます。

 国家試験を受験するためには、養成校で3年以上学び、必要な知識と技術を身につけることが必要です。養成校には4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)、特別支援学校(視覚障害者が対象)があります。

 養成校のカリキュラムには、大きく分けて、一般教養科目、専門基礎科目、専門科目、臨床実習の4種類があります。

これらの過程を合格していき、晴れて国家試験を受験することができるようになります。

臨床実習は、単に合格すれば良いというものでもありません。病院・施設での雰囲気や、スタッフとのコミュニケーションや患者様や利用者とのコミュニケーションを学びながら理学療法の勉強もしなければなりません。

個人的な意見ですが、臨床実習が一番大変だと思います。他3つの科目は勉強を頑張ればなんとか乗り越えられると思いますが、臨床実習はそう簡単にいきません。

ですので、今回は、臨床実習でなるべく大変で辛い思いをしないようにするために、私の経験などとともに、少しでも参考になるように書いていこうと思います。

実習の種類

実習の種類は大きく分けて4つあります。

  • 見学実習
  • 評価実習
  • 総合臨床実習
  • 通所リハビリテーション又は訪問リハビリテーションに関する実習

それぞれ、簡単に説明します。

見学実習

対象者への対応等についての見学を実施します。早期体験実習などが相当し、対象者に評価・治療を行うのではなく、対象者や施設・医療スタッフに対して適切な態度で接すること、診療チームの一員としての理学療法士の役割について学びます。

評価実習

診療録等からの間接的情報収集や対象者への直接的情報収集(検査・測定等)を通じて、対象者の状態等に関する評価を実施します。実習生が診療チームの一員として加わり、臨床実習指導者の指導・監督の下で行う診療参加型臨床実習が望ましく、様々な疾患・状態の対象者に対して基本的な検査・測定等を適切に実施することを学びます。さらに、得られた情報から障害像を考え、課題解決に向けた仮説を立てる過程を学びます。

総合臨床実習

評価実習の内容に加え、対象者の障害像の把握、治療目標および治療計画の立案、治療実践ならびに治療効果判定等を学びます。実習生が診療チームの一員として加わり、臨床実習指導者の指導・監督の下で行う診療参加型臨床実習が望ましく、様々な疾患・状態の対象者を数多く経験し、経過の観察を通じて理学療法の効果を学びます。また、診療録等への記載方法やカンファレンスへの参加など、様々な理学療法業務についても理解を深めます。

通所リハビリテーション又は訪問リハビリテーションに関する実習

症例を通じて、地域包括ケアシステムにおける通所リハビリテーション又は訪問リハビリテーションの役割やリハビリテーションマネジメント等について実習できるように努めることが求められます。

詳しくは、日本理学療法士協会のサイトをご覧ください。

臨床実習教育の手引き(第6版)|協会の取り組み|公益社団法人 日本理学療法士協会
「臨床実習教育の手引き(第6版)」のページです。臨床実習教育の手引き(第6版)はこちらからダウンロードいただけます。

実習前に準備しておくこと

理学療法の実習は、準備なしでは乗り越えられないと私は思います。

ですので、適切な準備をする必要があります。いくつかやっておいた方がいいことがあるので、紹介したいと思います。

  • 病院・施設の情報を調べる
  • 社会人としての礼儀や身だしなみをしっかりする
  • 患者様や利用者様との会話デッキを考えておく
  • 先輩のレポートやレジュメの見せてもらう
  • 手帳サイズに評価項目などをまとめておく
  • レポートやレジュメを書く練習をする

病院・施設の情報を調べる

まずは、実習でお世話になる病院や施設の情報を調べることから始めましょう。

どの疾患が多いのか、どのような分野が得意なのか、リハビリテーション科の人数など、必要最低限の情報は知っていた方がいいと思います。

調べた情報から、予習をした方がいいと思います。

例えば、整形外科系の疾患が多かったら、整形外科や運動療法を予習するなどして少しでも知識をつけた方が後々楽になるはずです。

社会人としての礼儀や身だしなみをしっかりする

職員や患者様、利用者からの印象を良くするためにも挨拶や服装や身だしなみは整える必要があります。学校からの指導もあると思いますが、実習に行く前に今一度確認した方がいいと思います。

しかし、礼儀や身だしなみの基準は人それぞれであり、自分ではしっかりしていたつもりでも、他人からみたらあまりいい印象を持たれていなかったりすることもあるかもしれません。特に注意が必要なのは患者様が年配で昔ながらの考え方かもしれないということです。少しでも機嫌を損ねるとリハビリの拒否や会話もしてくれなくなってしまうかもしれません。

ですので、自分が思っている以上に気をつける必要があります。

合格したいなら、数週間の間だけでも個性を消して就活生のようにあたりさわりない服装や髪型にするのが良いと私は思います。

患者様や利用者様との会話デッキを考えておく

実習中に実習生が必ず経験することが1つあります。

患者様との1対1での雑談タイムです。

例えば、患者様の自主トレの時などに先生から、「少し話してきて」というような感じで頼まれたりします。

およそ5〜10分ほどは、時間があると思います。

多少の沈黙があってもいいかと思いますが、ずっと会話がないというのはまずいです。

ですので、少しでいいので会話デッキを用意しておくと楽になるかもしれません。

例えば、「天気について」「趣味について」「仕事について」「最近にニュースについて」などがパッと浮かぶかなと思います。

基本的に聞き役に徹していい感じに話を広げられるように練習しましょう。

あとは、朝の通勤通学の時間はニュースを読む習慣をつけておくのが良いでしょう。

先輩のレポートやレジュメの見せてもらう

これまでたくさんのレポートなどを書いてきて、大体どのようなことを書くのかはわかっていると思いますが、実習前に実際のレポートやレジュメを見せてもらった方が良いでしょう。

様々なパターンのレジュメを見て、自分が書く時に完成がイメージできるようにしましょう。

手帳サイズに評価項目などをまとめておく

実習前に準備していてよかったと思うことが、手帳や手帳サイズの紙に評価項目や忘れやすいことをまとめてメモしておくことです。

初めて、実際に患者様に対して評価やリハビリを行う時は緊張すると思います。

緊張で頭の中が真っ白になって何もできなくなってしまうことがあるかもしれません。

そんな状況に対処するために役立ちます。

ですが、無断で持っていき、急にそれを見るのはあまりよろしくないと思うので、バイザーや患者様に事前に許可をとっておくのが良いでしょう。

ちなみにこんなものもあります

これは、手帳サイズに色々な項目の評価がまとまっています。

私もこれは買ってポケットの中に忍ばせておきました笑

レポートやレジュメを書く練習をする

大学でたくさんのレポートやレジュメを書いてきたので、実習中でもなんとなく書けると思うかもしれませんが、実際はそんなにあまくありません。

実習中は時間がなく、心身ともに疲弊している状況で、作業しなければならないため、すごく大変です。

ですので、実習前にレジュメやレポートを書く練習をした方が良いと思います。

どう練習するかというと、先輩のレジュメやレポートをコピペなしで丸々うつすということをやってみると良いかもしれません。

または、「PT症例レポート」という本にある完成されたレジュメをうつすのもいいかもしれません。

私もこの本を使って練習しました。

実際にやってみると、意外なところで行き詰まることがあります。それを、実習前にできるようになっておくと、実習中にすごく楽になります。

私は、棒人間を使った動作分析や画像の縮尺方法、考察などが苦手だということがわかり、練習して実習前には、簡単にできるような状態にしました。

めんどくさい作業ではありますが、おすすめです。

実習のポイント

実習は基本的に合格できるように、大学の先生はもちろん、病院や施設の先生もサポートしてくれます。不合格させるように、厳しくしたり、嫌がらせをしたりなどはないと思います。

しかし、学生の態度が悪かったり、提出期限を守らないなど、できて当たり前のことができなかったりすると、先生方も愛想をつかしてしまうかもしれません。

また、先生からの質問にいつも答えられないとやる気がないのではないかと思われてしまいます。本当にわからない時でも何か考えて、間違っていても良いので答えるようにしましょう。

学生が、しっかりとした態度で実習に望めば、先生方も協力してくれます。

時には、先生に悪気なく「こんなこともわからないの」と少し嫌味っぽく言われてしまうことがあるかもしれません。そんな時に役立つ言葉があります。

それは、 「勉強になります」 と明るく言うことです。

おおよそこれで、切り抜けることができると思います。毎回これを繰り返すのは良くないと思いますが

あとは、たまに先生に「友達みたいに接していいよ」と言われることがあるかもしれません。しかし、本当に友達みたいに接するのはあまりよくないと思います。しっかり、先生と学生の立場は保って実習を進める方が良いと思います。また、連絡先の交換もしない方が良いと思います。

仲良くして、和やかな雰囲気でやるのもいいかもしれませんが、周りの目もあるので、先生と学生の線は引いた方が良いでしょう。

まとめ

実習といえば、辛いとか、厳しいとか、マイナスなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。学生がしっかりしていれば、先生方も適切に接してくれます。

あまり気負いしないで気楽にいきましょう。

実習を乗り越えることができれば、理学療法士になるまで、もう一歩です。

引き続き頑張っていきましょう!!

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